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お知らせ

β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の原料原産地表示の留意点について②

2022-02-17

β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の原料原産地表示の留意点について②

 β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は 2020 年 3 月 31 日付の通知「食薬区分におけ る成分本質(原材料)の取扱いの例示」(薬生監麻発 0331 第 9 号)により食品として使用可能 となった成分であり、当社が日本総代理店となっている誠信薬業社の原料を始め、多数の中国 産の原料が食品として輸入されております。一方で、中国産の NMN 原料を日本国内で精製、 あるいは粉砕・造粒加工した原料を配合し、「国内製造」と原料原産地表示して販売される製品 が見受けられます。消費者庁ではこれらの製品に対し、「主たる製造工程が国外(中国)である NMN 原料を配合し、製品に「国内製造」と表示することは不可、あるいは景品表示法に抵触す る可能性あり。」との見解を示しており、使用する原料の製造工程全体を把握したうえで適切に 原料原産地表示することが求められます。

 食品表示基準では、加工食品について本質的な変更を施されたか否かにより「加工」と「製造」 を区別し、食品関連事業者及び製造所等を表示することとされています(総則-14、食品表示基 準第三条一項)。一方で、新たな原料原産地表示制度(2017 年 9 月施行)において、加工食品の 原料原産地についてはその製品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国を製 造地表示することとなっており、国産品の場合は「国内製造」、輸入品の場合は「○○製造」(○ ○は原産国名)と表示します。注意点として、「製造」又は「加工」を行ったとして製造者、加 工者等と事項名が変わることと、新たな原料原産地表示制度において、日本国内で実質的な変 更が行われて「国内製造」になることは事情が異なるため、それぞれ適切に判断し表示する必要 があります(原原-43)。

 新たな原料原産地表示制度において、輸入された原料については、国内でさらに「製品の内容に ついて実質的な変更をもたらす行為」がなされ、その原料を配合した場合に限り「国内製造」と 表示することが可能です(原原-44)。昨今の NMN 市場の盛り上がりとともに、中国産の NMN 原料を輸入し、国内で精製や造粒加工した原料を「国内製造」品として販売する輸入業者やメー カーが多数見受けられます。中国から 98%以上の高純度の NMN 原料を輸入して国内で精製、 あるいは粉砕・造粒加工した場合、この原料を「国内製造」と表示できるか消費者庁食品表示企 画課に問い合わせたところ、「方法にかかわらず精製のみ、あるいは微粉砕を含めメッシュサイ ズが変わる程度の粉砕のみでは、実質的な変更をもたらす行為とはならず、「国内製造」を謳う ことは不可と判断する。」との見解が示されました。原原-44 には「製品の内容についての実質 的な変更をもたらす行為」とはならず「国内製造」とならない主な具体例として、「選別」(形、 大きさで選別するなど)が挙げられており、分類するのであれば精製および粉砕は「選別」と判 断するとのことでした。

 一方で、NMN 原料を国内で造粒加工した場合、原原-44 で挙げられたいずれの具体例にも該当 せず、「製造の内容についての実質的な変更をもたらす行為となり、加工ではなく製造に該当す る。」との見解でした。ただし「主たる製造工程が国外(中国)で行われていることから、国内 での造粒加工のみで「国内製造」と表記するのは、景品表示法の優良誤認表示の可能性がある。」 とのことでした。そこで消費者庁表示対策課に問い合わせたところ、「国内で造粒加工などの工 程を行ったとしても、原料原産地や主たる製造国が国外(中国)であることを明示せず、「国内 製造」と記載することは製品の差別化となり、消費者の製品選択理由となり得る。そのように完 全な情報提供を消費者に対して行わずに製品を販売し続けることは好ましくはないと判断す る。」との見解でした。現時点で明確な結論は得られないものの、国内での造粒加工のみで「国 内製造」と表示することは景品表示法に抵触する可能性が高いと考えられます。

 消費者庁食品表示企画課からは、「仮に海外から輸入した原料を国内で精製して国内製造品とし て販売することで、全ての製造工程が日本国内で行われたように思わせる原料が市場で販売さ れる実態が存在するのであれば、それは問題である。」との見解を頂いており、今後、誤った原 料原産地表示に対する取り締まりの強化も予想されます。原料原産地表示はもともと、原料原 産地によって製品が差別化されることが多い加工食品において、加工地を強調することで消費 者の誤認を招かないように導入された経緯があります(全般-2)。使用する原料の製造工程全体 を把握したうえで適切に原料原産地表示を行い、誤解を与えることなく消費者の適切な製品選 択の機会を確保する必要があります。

参考資料

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