β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は2020年3月31日付の通知「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(薬生監麻発0331 第9号)により食品として使用可能となった成分であり、当社が日本総代理店となっている誠信薬業社の原料を始め、多数の中国産の原料が食品として輸入されております。一方で、中国産のNMN原料を日本国内で精製や造粒加工した原料を配合し、「国内製造」と原料原産地表示して販売される製品が見受けられます。消費者庁ではこれらの製品に対し、「方法にかかわらず精製のみではNMN原料に実質的な変更をもたらす行為とはならず、製品に「国内製造」と表示することは不可である。」との見解を示しており、使用する原料の製造工程全体を把握したうえで適切に原料原産地表示することが求められます。
食品表示法では、加工食品について本質的な変更を施されたか否かにより「加工」と「製造」を区別し、食品関連事業者及び製造所等を表示することとされています。一方で、新たな原料原産地表示制度において、加工食品についてはその製品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国を表示することとなっており、国産品の場合は「国内製造」、輸入品の場合は「○○製造」(○○は原産国名)と表示します。注意点として、「製造」又は「加工」を行ったとして製造者、加工者等と事項名が変わることと、新たな原料原産地表示制度において、日本国内で実質的な変更が行われて「国内製造」になることは話が別であるため、それぞれ適切に判断し表示する必要があります(原原-43)。
新たな原料原産地表示制度において、輸入された原料については、国内でさらに「製品の内容について実質的な変更をもたらす行為」がなされ、その原料を配合した場合に限り「国内製造」と表示することが可能です(原原-44)。昨今のNMN市場の盛り上がりとともに、中国産のNMN原料を輸入し、国内で精製や造粒加工した原料を「国内製造」品として販売する輸入業者やメーカーが多数見受けられます。当社では、もし中国から98%以上の高純度のNMN原料を輸入して国内で精製や造粒加工した場合、この原料を「国内製造」と表示できるか消費者庁に直接問い合わせたところ、「方法にかかわらず精製のみでは実質的な変更をもたらす行為とはならず、「国内製造」を謳うことは不可と判断する。」との見解が示されました。原原-44には「製品の内容についての実質的な変更をもたらす行為」とはならず「国内製造」とならない主な具体例として、「選別」(形、大きさで選別するなど)が挙げられており、分類するのであれば精製は「選別」と判断するとのことでした。
消費者庁の担当者からは、「仮に海外から輸入した原料を国内で精製して国内製造品として販売することで、全ての製造工程が日本国内で行われたように思わせる原料が市場で販売される実態が存在するのであれば、それは問題である。」とのコメントを頂いており、今後、誤った原料原産地表示に対する取り締まりの強化も予想されます。使用する原料の製造工程全体を把握したうえで適切に原料原産地表示することが必要です。
参考資料
食品表示基準Q&A、別添 新たな原料原産地表示制度
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